住宅の断熱リフォームの基礎知識
「冬は仕事から帰ってきても部屋中が寒くて・・・」 「夏は、外より部屋の中の方が暑い・・・」
断熱工事とまではいかなくても、リフォームのお話を伺うと出てくるのが、家の温熱環境に対する不満が出ないお客様はほとんど出ないといってもいいと思います。
「屋根裏は断熱がしてなくて、夏も冬と同じで外と同じ気温になってしまいます。」 「共働きだから、夏、家に帰るとサウナみたいになっいて、窓を開けようがエアコンをかけようが全く効かないから体調崩しそう。」 「お風呂が寒くて・・・、入る前にお湯を出しておかないと・・・」 「お風呂のお湯がすぐ冷めてしまって入りながら追い焚きしてます。」 「洗面所が寒くて、暖かいお風呂から出てきても、一瞬で冷えるんです。」 「キッチンが夏は暑いし、冬は寒いし・・・エアコンかけても効いてきた頃にはいなくなるし・・・」
どうでしょうか? 実際によくお聞きする声ですが、同じお悩みをお持ちの方はいらっしゃるのでは、ないでしょうか? 一言で「断熱」といえば、なんだか簡単な工事に聞こえますが断熱工事程、種類に富んだリフォームも少ないと思います。
そして、何より、本当に断熱効果があるのかどうか??それを確かめる事が出来ないままに工事の契約をしなくてはいけない可能性が高い事がお客様にとって工事をするかどうかを決めきれてない原因になっているようです。
しかし、橋本工務店では永らく注文住宅を手掛けさせて頂いていることから、型にはまったリフォーム工事ではなく、お客様のご要望を限られたご予算のなかでベストな方法で「これならば!!」というものをオススメしています。
その為か、ご提案させていただいたお客様からは、とても満足度の高いお声を頂戴しています。
ここでは、橋本工務店がよくお薦めしている断熱材についてご紹介します。
断熱材を選ぶ前の基本
「断熱材」と言われて多くの人が思うのが、やはり左の写真のようはグラスウールだと思います。 グラスウールは、その扱いやすさと価格がとても魅力的な商品です。その為、多くの既設や新築の住宅の天井や壁の断熱材として使われています。 しかし、その反面、メディアやネットで取り上げられているように湿気に弱いという側面もあります。正しい施工方法と、正しい補修方法で設置されたものは何も問題ないのですが施工方法を間違うと断熱材としての機能を失う事があります。 断熱材を豪う基準の一つとして、永続的に断熱効果が得られる事が大前提であることは言うまでもありません。それには、湿度(=内部結露・・・壁の中で起こる結露)の問題を追求する必要があります。
まずは、断熱工事を希望される方々に、ご自宅の壁の中でどんな事が日常的に行われているかを知って頂きたいと思います。
「空気の性質について、基本4原則」
- ①空気は暖かいほうから冷たいほうへ流れる性質がある
- ②湿気は高い方(ムシムシする方)から低い方(カラっと乾いている方)へ流れる性質がある
- ③暖かい空気は水分をたくさん含む事ができる
- ④冷たい空気は水分を少ししか含む事ができない
この4つは、これからの説明に大変重要となるので覚えておいてくださいね。 それでは最初に結露が起こるシクミをご紹介します。
結露のしくみ
暖かく暖房をかけ、加湿器をかけている潤いのある部屋
暖かい空気は多くの湿気を含むことが出来る
暖房をかけず使用していない冷えきって乾燥した部屋
冷たい空気は少しの湿気しか空気中に入れることができない
それでは、次に自宅の壁の中でどんな空気の流れが起こっているのかを冬場を想定して結露の仕組みと同じように見てみましょう。 夏場は冬と逆の現象が起きていると思って頂ければ大丈夫です。
壁の中のしくみ
熱の移動は室内から外へ、 空気に含まれる湿気も一緒に移動します。
断熱が充分でなかったり断熱材にすき間があって壁内が外気と同じ状態になっていると湿気をたっぷり含んだ空気がいきなり冷やされます。 急激に冷えた空気は一気に含む事ができる湿気の量が減ってしまい湿気を空気中に止めておけず、壁の中で落ちてしまいます。
昔の日本家屋は、壁の内部に断熱材として土壁を用いていました。 土壁自体の断熱性はグラスウールに比べて1/10程しかありません。 しかし、昔は、今の用に部屋全体を暖めるような暖房器具もありませんし冬の寒さは室内をどんなに温めても、なかなか温度が上がらず空気中の湿気も含む事ができず比較的、室内が高温多湿になる事がありませんでした。
また土壁は吸湿性や透湿性を持っていますので、最悪湿度の高い空気が急激に壁内で冷やされても結露の水滴があまり表に出てくることはありませんでした。 しかし、近年、省エネと快適性を求める事で断熱材の充填が標準となりました。 そこで、安価で施工性が高いグラスウールが木造住宅で標準的に使用されるようになりました。グラスウールは、ガラス繊維を綿状にしたものです。もちろん吸水性や、透湿性はありません。その為、内部結露を防ぐためには、グラスウールの袋の表面に「防湿シート」を貼り湿気の流入自体を止めてしまう仕組みになっています。
グラスウール
グラスウールには防水シートが一緒についています。それを室内側に向けて施工することで暖かい空気は通しますが、湿気自体は通さないシクミになっています。
この仕組みをきちんと理解して丁寧に施工していれば問題も少ないと思います。 しかし、思っている以上にこの施工が神経を使うものである事は意外に知られていません。 どんな事に気を付けないといけないかと言うと、
1. 防湿層を必ず室内側に施工する
外壁側に施工すると壁内に湿気が入ってしまい内部結露が起きやすくなります。
2. 防湿層が破れたら防水テープで補修を行う
防湿層はとても薄いシートが貼られています。その為ちょっとの引っ掻きで簡単に破れます。 やぶれてしまった所がそのままですと、その部分から湿気が入ってしまいます。
ここに書いてみると、本当に大したことではないのですが、丁寧で正確な施工に全てがゆだねられる素材ではあるのです。 安価で、施工性がいいと思われるグラスウールはこのような基本の取り扱いができないだけで家を腐食させたり、シロアリの原因となる内部結露が起きやすい事をご理解いただければと思います。 内部結露が起こると、その水滴で軽さで断熱性能を出しているグラスウール自体に重量が発生し断熱機能すら無くなってしまう事もあります。 ただ、間違って欲しくないのは、グラスウールが悪いわけではないと言う事です。あくまで施工不良の場合のみです。 ですので、グラスウールを断熱材としてご利用いただく場合は、施工をきちんと監理していただく事をオススメします。